TOP 読むの嫌な人 本ページ最下に改造写真が有ります。 改造説明ビデオ作りました。止めながら説明を観て下さい。 MODELA MDX−3との出会い 11年前、「君ならこれ使えるだろう」そう言われて型宮産業の会長さんから無償で頂きました。型宮産業さんには28年前に勤めていて、当時は主に陶磁器の石膏型を作っている会社でした。当時から会長は機械によるモデリングの事を熱心に話しておられました。当時の僕にはちんぷんかんぷんでしたよ。だけど流石は会長、先見性に富んでたんですねぇ・・・最近は機械じゃないと制作出来ない原形の需要が沢山あります。当時は陶磁器界において機械が原形を作るなんて事は考えもしなかったんじゃないでしょうか? 試験的にMDX−3を購入されて、幾つかの原形を作っていたらしいですが、現在は本格的な工作機械を導入され、そのモデリング技術も高く陶磁器界以外のあらゆる産業に貢献されています。例えば、パチンコ台のプレゼンテーションCGからのモデリング、ダッ○ワイフの原形製作・・・とまぁ多方面に活躍されています。当社製品もIGESデータでメールし原形を製作してもらっております。 MDX−3の不具合 長年使用するとこんな現象が起こります。 今までの切削パラメータでは、スムーズに刃(エンドミル)を送れない・・・これを解決するには、移動速度を極端に落すしかありませんでした。 ソフト上のパラメータは6ミリエンドミル・石膏・荒削りでXY移動が12mm/sですが、これを3〜4mm/sにダウンさせるとかで、長時間辛抱してなんとか凌いでいました。 その原因なんですけど、MDX−3の稼動部の構造体に、黄銅製のカラーと樹脂製品がシャフトガイドとして使用されています。これらが磨耗によってガタつきが出ているからでした。・・・ってゆーか使用された人ならスピンドルユニットを取り付ける時に分りますよね、「こんなガタあってもええの・・・?」良くはありませんよね。 当然、エンドミルの切れ味も左右します。僕が切削しているのは石膏なのですが、対象物が石膏でもエンドミルは金属切削できる物にしています。6ミリ径なら4枚刃の物が良いですね。理論上は刃数が多い方が切削負荷も低くなります。あともうひとつ、スピンドルモーターも高回転が望ましい・・。 改造の決意 まず、ローランドDGさんに深く謝ります。取説の警告に、分解・改造しないでください。とありましたが、やむ終えなく分解・改造してしまいましたm(__)m MDX−3は仕事で使用しています。今や僕の陶磁器の原形製作において無くては成らない存在になっています。がしかし、思うように削ってくれなくなりました。精度面でも悪化する一方でした。「もうこれじゃ使えない・・・」MDX−40の購入も考えましたが、型宮産業の会長さんから頂いたMDX−3を簡単に捨てる訳にはいきませんでした。 改造の設計 仕事で造形に3DソフトのSHADE(シェード)で設計しています。SHADEからDXFに変換してモデラソフトで切削しています。そのSHADEでMDX−3のパーツを採寸して書き、改造の設計をしました。改造対象箇所はZ軸とX軸です、これらの稼動部にガタがあるからです。 改造にあたって取寄せた部品は以下になります。 Z軸に対して NB製のスライドブッシュ SMK−6GUU 1個 (NB=日本ベアリング) IKO製のリニアウェイ LWLC7C1BHS1 1個 IKO製のリニアレール LWL7R90BHS1 1本 X軸に対して NB製のスライドブッシュ SMTC−10GUU 2個(片側平面2mm削除加工) 以上です。(各既製部品はDXFをメーカーHPからダウンロード出来ます) それと、自作ステーを2種3個、ステンレス板1.5mm厚で作りました。リニアは7ミリ幅のレールで、リニアウェイの鋼球は保持型を選定しました。これ以下のレール幅になると、リニアウェイの鋼球は保持されていませんし、組み付けに支障が出そうでした。ちなみに9ミリ幅は取付困難です。 Z軸加工と組付け Z軸の右側シャフトにスライドブッシュのSMK−6GUUを組み込むわけですが、5度傾けないとM3ネジが3本固定できませんでした(4本は不可能)後で気が付いたのですが、5度傾けると駆動部のステー止めネジ頭の干渉回避にもなりました。 Z軸の左側シャフトは取り外し、これに換わる物がリニアです。リニアレールの固定は2mmネジ・・・3ミリは今まで何度も開けた事がありますが、2ミリのタップを開けたのは初めてでした。リニアウェイと干渉するスピンドルユニット固定樹脂製品の左端はグラインダーで削除しました。 左右両方とも隙間無くガチにしてしまうと組み付けに苦労する・・・と思っていましたが、難なくスムーズに調整も完了、これもローランドさんの板曲げ加工技術が高いからだと思いました。 結果、Z軸ユニットを手に持って少し傾けるだけでスーっと動きました。それでいてスピンドルユニット固定の際にはビクともしません! X軸加工と組付け X軸加工は、モデラ側面を分解して行う訳ですが、Z軸ユニットに自作ステーを2個取り付けます。ステー側をタップ穴にしておかないと微調整できません。元々付いていた黄銅製のカラーは、ツバの反対側から叩いて抜き取れます。 自作ステーにNB製のスライドブッシュSMTC−10GUUを仮固定し、モデラのX軸に通し分解した側面を組み立て、動きがスムーズになった位置で固定ネジの増し締めをしました。この際、テーブルとZ軸が垂直に成るように調整します。後で分ったのですが、6ミリエンドミルで面出しすると階段状になっていたのが、改造後は全くフラットに仕上がりました。樹脂製のガイドが減っていて垂直が出てなかったんですね。 スピンドルモーターの高速化 MM−3のSAGAMI製のモーターは4500RPMとありますが、実際にはモーターローラーからOリングで比率換算するとエンドミルは2700RPMほどしか回っていません。 「切削材料が石膏なので回転数をUPさせれば更に高速切削が可能になる!」 探したけれどMODELAの掲示板にも代替品は書かれていません。探しに探した挙句、高速回転の代替モーターを見つけました!でも皆さんご承知のマブチモーターではありません、確かにマブチモーターで該当する物は2種ありました。しかし2種とも産業用で一般には入手困難なようですね。 MM−3モーターの駆動電圧は14V(モデラ電源は12V・・・)、電流値は切削時に2A強ほどでした。探しあてた代替モーターはMFA/COMO DRILLS社製(イギリス?)のRE−385で、取付け障害は無し。駆動電圧は6〜15Vで範囲内で適正、回転数は12600RPM(12V NO LOAD時)これでエンドミルを2.5倍ほどの7000RPMにする事が出来ます。実際に切削時には1.7Aほどで、切削エラーにも停止対応できました。しかし、マブチに比べると少々トルクが少ないんですよね、けど我が日本製のマブチに軍配が上がって内心ホッとしています。モーター寿命は今のところ不明です。騒音も少なくてルーターの様な切削音ですよ。 改造の総結果 動作的に完璧です。先にも記述したように材料が石膏の場合、6ミリエンドミルで荒削りとすると標準切削パラメータでXY移動は12mm/sになっていますが、改造前は6mm/s以下で、改造後は15mm/sでエンドミル100%幅が走っても支障なく切削出来ています。もっと速く切削したいのですが15mm/sがモデラMDX−3の限界・最大値・・・ 今後の改造 残すところY軸の改造なんですが、Y軸に関してはさほどガタが無く、切削屑混入による減りに対しても対策していますし、今のところ改造する必要性はありません。 しかし改造するとしたらCGの様にするでしょう。 改造の反省 こんな僕でも改造してしまうのですから、きっとどこかで同じようなモデラ改造されている人が居ると思っています。けどネット上に公開されていないのは、ローランドDGさんに対して失礼だからでしょう。ローランドDGさん、ごめんなさい。でもMDX−3はとっくにサポート外だから許してくれるよね。 感謝 このモデラMDX−3を頂いた当時は、その利用価値も分からず、しばらく飾っていました。当社の陶製品のボトル開発でネジ原形を作らないといけなくなり、はじめてMDX-3をフル稼動させることになったのです。今では開閉に有利な2条ネジのボトルを開発中で、改造したMDX−3は活躍してくれています。3D切削機を持っていたからこそ発案できるデザインもあります。当時も高価なMDX−3を、ポンとくれた型宮産業の井澤明彦会長、本当に感謝しております。 MFA/COMO DORILLSモーターの入手先はここ その他の既製品パーツは近くの鉄工所で入手できると思います。 既製品の検索は { 日本ベアリング } { IKO } のホームページへ |